動物病院での保定 ~動物が動かないようにする方法とは~

こんにちは!ドイツ仕込みの動物自然療法士・ティアハイルプラクティカーの野原です。


ここ半年ほど、野良猫さんの生き様を見つめる仕事に関わらせて頂いています。

そしてここ半年ほど、随分生傷が増えました(笑)


仕方ないことではありますが、相手が家庭内に暮らす動物だろうがお外で暮らす動物だろうが、動物病院での診察の際には必ず「じっとしてもらう」必要があります。

特に野良猫さん相手では、じっとしてもらう(というか触る)のは至難の業です。


動物をじっとさせることを「保定」というのですが、その際に恐怖や怒りで暴れる子、身を守ろうとする子に噛まれたり引っ掻かれたりすることは、動物看護士や獣医師という職業では避けては通れないことです。

(このイラスト、犬さん泣いてるっ(T T))



ただ、噛まれたり掻かれたりするのはできる限り避けたい!というのが本音。

めちゃくちゃ痛いですし、跡がくっきり残ってしまった古傷を見るたびに思い出が蘇ります(←嫌な記憶でなく、あのときあんなことあったな~みたいな^^)。


大きな傷を負ってしまった後は同僚や患者さんに見られると(特にイジられると)とても恥ずかしいものです。

これは栄誉の傷ではなく、ただ自分の保定がへたっぴだったり観察力が乏しかったということでしかない(と思う)のです。

(病院送りになることもありましたね~。お恥ずかしい・・・)




ところで日本の動物看護専門学校では、保定といえば

「動物の関節をきめる」

「要所要所を完全に固定する」

「動物が抵抗する気をなくすようガチガチに固める」

ということが基本中の基本らしいです。


あくまで人に聞いた話ですし、海外の専門学校もそう教えているかもしれません。


これは専門家の間では「正しい」とされています。


確かに、動物が動ける状態では処置や検査が、人にとっても動物にとっても非常に危険なものになってしまいます。


なので動物が動かないようにすることは最重要。



ただ、動物が動かないようにする方法は他にもあるのではないでしょうか?


動物がじっとしていればいいのですから、必ずしも人がガチガチに関節をきめる必要はないのです。


私は動物看護助手として今現在も働いていますが、正直なところ保定がとても不得意です。

結構動物さんは動きますし、先輩方に保定を代わってもらうことだってあります。


というのも、動物さんが抵抗しない子だったら別に無理やり身体を固定しなくてもいいのではないかと思ってしまうからです。


診察の1から10まで動物を押さえつける必要は全くなく、採血や耳掃除の際、「このとき!」というポイントにしっかり保定すればいいのだと思っています。


嫌なことを「嫌!」とボディーランゲージやアイコンタクトで訴えてくる動物さんたちの気持ちを無視して押さえつけるのは正直心が痛みます^^;


え?動物看護士向いてないですか?笑


あわよくばハズバンダリートレーニング(受診動作訓練)をできるようになって、動物さんが自ら診察に協力してくれるようにできたらいいのに・・・なんて考えていますが、現状それをできる時間も余力もおおよその動物病院にはないでしょう。

(ハズバンダリートレーニングについては近日中にご紹介しますね!)


とにかく、日本の動物看護師専門校での「当たり前」を疑ってみたいわけです。


動物を態度や眼力で威圧したり、上から押さえつけることが本当にその子にとっていいことなのかどうか。


もちろん診察も検査も処置もとても重要です。


ただ、私たちは動物さんを病院へ連れてきてる時点でもう、彼らに極度のストレスを与えてしまっているのです(中には好きな子もいるでしょうが)。

そして病院では嫌なことをされる、押さえつけられる、痛いことをされる。

ますます病院を嫌いになって負の連鎖が起こります。


私としては、動物病院での診察をストレスなくこなせるようにトレーニングするトレーナーさんや、ハズバンダリートレーニングに興味のある獣医さんや動物病院スタッフさん達と交流し、飼い主さんと病院を巻き込んで大きなマインドチェンジをしていけたら、動物さんたちにとって良い影響を与えられると考えています。


が、道のり流し^^;


もし動物に負担の少ない診察を望んでいる飼い主さんがこのブログをご覧になっていたら、まずは自らが実行してみて頂きたいのです。


動物病院受診日は朝のフードを少なめにし、とびきり大好きなおやつを診察に持参する。

検査などが済むたびにすかさずフードをあげる。

(※動物さんが緊張しすぎているとフードは食べてくれません。)


フード大好きな犬さん猫さんであれば食べてくれるかな~と思います。


これはしっかりとしたハズバンダリートレーニングではありませんが、嫌なことされる中でも多少いいことがあるというだけで、それがあるのとないのとでは全く違います。


診察時にフードを与える際は獣医の先生やスタッフさんに一言お断りしてから与えるようにしましょうね!

(もしこのお願いに嫌な顔をする病院であれば、さっさと違う病院に乗り換えちゃいましょう!笑)



動物病院の保定に関して、あくまで私個人の意見を書いてみました。


実際は動物は動きますし、動かないようにするのが動物看護士の仕事なので仕方ない部分はありますが、ガチっと保定する行動の裏腹、心の中では「もっと他に動物に負担なく診察を進めることはできないか」と真剣に考える病院スタッフでありたいと思っています。



本日もご訪問頂き、ありがとうございました!