ハズバンダリートレーニングとは(大牟田動物園を見学して)
こんにちは!ドイツ仕込みの動物自然療法士・ティアハイルプラクティカーの野原です。
前回のブログで少し触れましたハズバンダリートレーニング。
いったいどのようなトレーニングなのでしょうか?
もう2年以上も前の話になってて非常に驚きなのですが、当時の職場の先輩に誘われて、福岡の大牟田動物園のハズバンダリートレーニング見学会へ参加しました。
こちらの動物園のHPには、
“ハズバンダリートレーニングとは、動物の心身の健康管理に必要な行動を動物たちに協力してもらいながら行うトレーニングのことです。
これまで麻酔無しではできなかったり、動物たちの心身にストレスとなっていたことでも、トレーニングを用いることにより、より安全に定期的に実施することが可能となります。
当園では多くの動物の採血、体重測定を定期的に行い、健康状態の把握、疾病予防に努めています。”
(https://omutacityzoo.org/concept)
と書かれています。
そのときまでは動物園動物の診察や検査がどのように行われているのか、考えたこともありませんでした。
大牟田動物園では、ハズバンダリートレーニングを取り入れた結果、日本で初めてライオン・トラ・ユキヒョウ・マンドリル・サバンナモンキーの鎮静/保定なしの採血が成功したそうです。
その他にも、キリンやゴマフアザラシなどの動物園でおなじみの動物たちの採血も鎮静なしでできています。
さて、当時見学会ではどのようにトレーニングをしていくのか、ということを教えて頂いたわけですが、それはそれは気の遠くなるほど多くの段階を経て、非常に長い日数をかけて少しずつ前に進んでいくトレーニングでした。
昨日までできていたことが今日突然できなくなる、なんてこともざらにあり、大変忍耐のいるトレーニングです。
犬さんのトレーニングも一緒ですよね。
長い時間をかけてお互いの信頼関係を構築し、ひたすらその行動がルーチン化するように続けていく。
動物たちとしっかりと意思疎通し、こちらが望んでいることをやってもらうのは一筋縄ではないのです。
さて、最近動物園動物に関して聞くようになってきたハズバンダリートレーニングですが、これは犬や猫にも適応可能なようです。
ときどき海外発信のSNSで犬さんが自ら手を出し採血されている動画を見たりしますが、それがハズバンダリートレーニングにあたります。
このトレーニングが入っていると、前回ブログのように動物看護士が羽交い絞めにしなくとも、動物の診察は可能です。
動物の負担が少なくなるようハズバンダリートレーニングをしたり、フィアフリー診察(https://wanchan.jp/column/detail/13696参照)を試みたりすることが理想ではあるものの、動物病院側も飼い主側も「ほんの数分なんだから」と、自分たちが努力することを放棄してしまいがちです。
その「ほんの数分」は動物にとってそうではなく、動物病院へ行って帰ってくるまでの時間を含め、非常に嫌な体験、怖い所と記憶されるわけです。
愛犬さん、愛猫さんのために私たちには今何ができるでしょうか?
私もハズバンダリートレーニングができるわけではないですし、フィアフリー診察のプログラム(英語であるらしいです)を受講したわけでもありません。
病院では今も動物を羽交い絞めにしています。
でも、そういった新しいトレーニング、新しい考え方があることを知っていて、それについて関心を持って進みだしました。
一気にどうにかしてあげることはできなくとも、新しい考え方ややり方を知り、関心を持って調べてみるところから未来は変わってくるのだと思います。
今話題の「じいちゃんだから性差別しちゃうんだよね」で終わらせてはいけないのと同じく、「病院だからしょうがないんだよね」で終わらせてしまっては悲しいです。
視野を広げ、新しい情報を得て、考え方を変えることは誰にでもできるはずです。
その人がそう望むのならば・・・。
本日もご訪問頂き、ありがとうございました!
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