ティアハイムベルリンでボランティアをするには?

こんにちは!ドイツ仕込みの動物自然療法士・ティアハイルプラクティカーの野原です。


今日は前回に引き続き、自身の体験談を中心にティアハイムベルリンについてご紹介します。

(前回のお話はこちら→



私は2015年、渡独1カ月ほどでティアハイムベルリンを訪れ、ボランティア申込書を提出しました。

ボランティアが活動できる範囲は限られていますが、それでも「犬の散歩ボランティア」「イベント手伝いボランティア」等内容が多岐に亘るため、希望を選択する様式になっていたのを覚えています(基本的にドイツ語で記載)。


早々にボランティアの夢が叶いそうで安心していたのですが、待てど暮らせど返事が来ない・・・。

その間数回問い合わせするも、結局声がかかったのは8カ月後の話でした。

聞くところによると、時期によってはその分野のボランティアが足りているため、必要になってからでなければ受け入れをしないとの噂でした。


この8か月の待機期間が精神的になかなかキツかったです。

8か月待てば必ず話が進むという確信なく、当時はもっぱらドイツ語学校に通うだけの生活でしたから、「このままボランティアできないままビザが切れてしまうのでは・・・」などいろいろな不安が生じました。


あくまで私の体験談ですが(ベルリン限定かもしれませんが)、何かアクションを起こしたときになかなか返事がもらえない、担当者が忘れてしまっているなんてことがよくありました。

「特に片言のドイツ語しか話せない外国人からの問い合わせってめんどくさいのかなー」と思うほど、役所や企業のレスポンスが遅い。

そういう風習なのかもしれないので、「外国人だからバカにされてる!」と気を立てるのは時間の無駄なので、あまり深く考えず何度も問い合わせすればいいと思います(これがなかなか手間がかかりますが)。

実際、スペイン人のボランティアさんは私より片言のドイツ語しか話せなかったのですが、応募からすぐにレスポンスが来たらしいです(笑)



さて、ティアハイムベルリンでボランティアを開始する前にはまずティアハイムベルリンのボランティアガイダンスに参加せねばなりません。

ボランティアガイダンスとは、ボランティア分野別の説明会のことです(団体によってガイダンスがあるところもないところもあると思われます)。


私の場合は当時たまたま募集があったのが猫舎清掃ボランティアでした。

猫舎の一日の流れやボランティア内容の説明、怪我や感染症に関する説明がありました。


ちなみにボランティアをする場合は破傷風ワクチンを接種していることが条件となっています。

また、職員になる場合は狂犬病予防ワクチンを打たなければなりません。


説明会では猫なでボランティアもあることが紹介されました。

文字通り、猫を撫でるだけのボランティアです。


これは保護猫たちの人慣れ・社会化を目的としたもので、週に2回以上通える人に限られています。

もちろん職員も猫が早く人慣れできるよう努力はしているのですが、日々の業務に追われているため充分な時間を割けないのが現状です。


この説明会に参加しそれでもボランティアを希望した場合、晴れてボランティアになることができます。

(Ehrenamt:ボランティア)



猫舎清掃と言っても、清掃ボランティアが配属されうる猫舎は当時5舎ありました(2017年にセクション改定があり4舎となりました)。

これも要はボランティアの人数次第で、どのセクションに行くかはそのときの状況によります。


私が割り当てられたのはSchillow HausⅡという猫舎でした。


ここは当時、妊娠中・産後の親子猫ゾーン、骨折等のオペ後の猫ゾーン、軽度疾病の猫ゾーン(重度の猫は入院セクション)、リハビリ猫ゾーンが混在している、珍しいセクションでした。普通は譲渡対象猫のみ、老猫のみというように建物毎にしっかりとセクション分けされているのですが、このセクションに限っては異なり、感染症予防や取扱いに非常に気を付けなければならないところでした。


Schillow Haus(セクションⅠとⅡがある)は基本的に見学不可で、どうしても仔猫が欲しい人や軽度の疾病持ちの仔でも迎えてあげたいという人が条件を満たせば交渉することができました。

当時Schillow HausⅡには大体10ほどの親子猫ボックス、20ほどの軽度疾病猫のケージ、9のリハビリ猫ボックスがありました。

それに対して常駐職員が2名、アルバイトが1~2名、あとはボランティアが世話をしていました。

ボランティアが来る日の方が珍しいくらいだったので、実質3~4人でこの量を管理していかねばなりませんでした。


この量に対してこの人数がいれば十分と思われるかもしれないですが、一日8時間(休憩を覗けば7時間)の間に清掃はもちろん、投薬・給餌、健康管理、社会化、電話対応、見学希望者対応、補充、ゴミ出しまで全てを行わねばなりません。

一匹一匹を満足にケアしてあげるには全く時間が足りていなかったように思います。

(もちろん清掃や環境整備はしっかりですが、猫と一緒に過ごす・遊ぶ時間が少なかったということです。)

(退屈対策として一部、知育トイやこのような給餌器を使ったりもしています。)



Schillow HausⅡの当時の職員さんの大体の一日の流れとしては次のようなものでした。


朝出勤し、タイムカードを押してから直接自分の持ち場へ向かい、業務開始。

まずはそれぞれの猫を見て、昨日のフードを食べた量や下痢嘔吐がないか、見た目の状況を備え付けのカードに記入します。

次にフード・内服を準備、給餌します。

それが全て終わるまでに1時間程要していました。


終了後朝食がてら休憩をとり、清掃に取り掛かります。

1つ1つのボックスに入り、クッション類についている毛やホコリをはたき落とし、トイレの砂は全交換、トイレトレーは毎日拭き掃除をしています。

床を掃き、モップ掛けをする。床を乾かしてる間に窓拭きを行い、最後にマットやトイレ、おもちゃを元の位置に戻し、そのボックスの清掃は完了です。

人慣れしていない仔を中心に、途中おもちゃで遊んだりもします。

全ての部屋の清掃が終われば廊下の掃き拭き掃除をし、備品の洗浄、ゴミ出しを行う。

昼休憩を取り、書類処理や飼い主希望者の対応、猫たちの社会化を行う。

最後のフード・内服を給餌した後、16時にタイムカードを押して終了となります。


朝から16時までの間に獣医チームはティアハイム中のセクションを往診し、必要な処置を行っています。

Schillow Hausは見学不可ですが、譲渡対象の猫がいるセクションは開園までの間に掃除を一通り終わらせる必要がありました。

私が日本へ帰国してからは13時開園ですが、以前は11時開園だったので、譲渡セクションの朝は特に大忙しだったようです。

※現在は新型コロナウイルス感染予防対策として、ティアハイムベルリン全体において見学可能者は事前に連絡を取っている里親希望者のみとなっています。



ちなみにここがドイツらしいな~というところが、各セクションの働き方はある一定の範囲でそこの職員さんたちに任されていることでした。


仕事はじめに朝礼をするわけでなく、大体するりと業務に入ります。

実際どんな取り決めかは知りませんが、いつ休憩しようがいつ何の業務をしようが、そのセクションが問題なく回ればOKなのだと感じました。

職員さんらは日々の業務をこなしながら、経験的にこれはこの時間にした方が効率がいい、ここはこうしておいた方が良さそう等、内容を工夫されているようです。


そうそう、ティアハイムでボランティアをしてみたい!そのためにドイツに行ってみたい!という方々のお話をよく伺います。


なので次回はそれについての体験談を書いてみますね!


ではでは、本日もご訪問頂き、ありがとうございました!